気持ちをうまく伝えるには? 「わたしメッセージ」で伝えよう


自分の要求や気持ちを上手に伝えられれば育児も夫婦関係・人間関係も上手くいくのに、できない。。。ただ単に伝えたかっただけなのに、夫や子どもと喧嘩になってしまった……。と悩んだことがありませんか。かく言う私もそうです。
 
 
そんな中たどり着いたのが「わたしメッセージ」です。どんな人間関係にも応用できる優れものです。「わたしメッセージ」についてお話していきますね。
 
 
【目次】
1.「わたしメッセージ」とは
2.「わたしメッセージ」のさらなる効果
(1)自分の気持ちや考えがはっきりする
(2)相手と自分の問題を分けることができる
(3)親密な関係になれる
 

1.「わたしメッセージ」とは

その名の通り「主語が『わたし』になっている話し方」です。相手ではなくて「私」の立場から、気持ちや考えを素直に伝えることです。そうすることで、相手への(隠れた)批判や説教や命令は含まずに自分の気持ちや要求を伝えることができます。
 
 
反対に、以下のような言葉を私は毒親譲りのきつ~~~い言い方で言っていました。これは「あなたメッセージ」なんですね。
 
 
「(あなたは)何で○○してくれないの?」
「(あなたは)何でわかってくれないの」
「(あなたは)早く片付けなさい」
「(あなたは)まだ寝てるの? 起きて準備して!」
喧嘩勃発!! って感じですね(笑)。子どもも反抗的になるし、夫からは反感を買います。ギスギスとした雰囲気が家庭に漂いますね。
 
 
 
ここで、一息置いて「私を主語にした伝え方だとどうなるだろう」と考えます。
「(わたしは)○○してくれなくて、困っている」
「(わたしは)あなたにわかって欲しいと思っている」
「(わたしは)早めに片づけを済ませて○○を一緒にしよう」
「(わたしは)早く起きて欲しいな。準備して出かけよう」
と変えることができます。
 
 
上下の表現を比較してもわかるように、「わたしメッセージ」に変換するとだいぶ言葉が柔らかくなりますね。
 
 
例えば「(わたしは)○○してくれなくて、困っている」と伝えたら、あとに続く言葉は「ごめんね」や「じゃあどうしたらいいかな。何したらいい?」となり、会話が進んでいきます。
 
 
私も初めは難しかったですが、少しずつ少しずつ練習することで上手くやることができています。できれば相手にも「わたしメッセージ」のことを伝えて、協力してもらいながら習得できるとよいですね。
 

2.「わたしメッセージ」のさらなる効果

(1)自分の気持ちや考えがはっきりする
先ほども述べたように、「わたしメッセージ」は「私を主語にした伝え方だとどうなるだろう」と一旦考えなければなりません。すると自然と「(その事柄について)自分は悲しかったのだろうか、辛かったのだろうか、困っていたのだろうか」と自分の内面を見直す必要に迫られます
 
 
例えば「あ、そうか、夫がわかってくれなくて『心細かったんだ』」「部屋が片付いていないと『落ち着かない』」など。時にはノートに書いて整理もしました。
 
 
その上でさらに、「部屋が片付かないと落ち着かないのは何でだろう?」→「子どもの頃、そのことで母親が怒り狂っていたからだ」と気付くことができます。もうその母親は側にいないんだ、自分のできる範囲で部屋を管理すればいいんだと自己理解も深まります。
 
 
「わたしメッセージ」を繰り返していくことは、自分の気持ちや考えを整理することにつながるんですね。「自分が」どうしたいのかを見失いがちな毒親育ちが「自分」を取り戻し、確立するためにも、とてもよいツールだと思います。
 
 
(2)相手と自分の問題を分け、相手を信頼することに繋がる
 
ここで少し抜粋します。
 
 
『(中略)……子供が親のスネを蹴ったとする。……(中略)
「イターイ! あーあ、痛かったーー蹴られるのは嫌だなあ」
「悪い子ね。そんなふうに人のことを蹴ったらダメじゃないの」
 
 
はじめのメッセージは、単に子供が蹴るとあなたがどう感じるかを述べただけで、子供のほうに異存のあるはずのない事実を示している。二番目は、子供は「悪い子」で、そういうことを繰り返さないようにと子供に警告しているが、そのどちらも子供のほうで反対をとなえる余地があり、子供が強く抵抗を感じよう。
 
 
「わたしメッセージ」は、子供の行動を変えていくのを子供自身の責任で行わせるのだから、無限の効果を持つ。「イターイ! あーあ、痛かった」と「蹴られるのは嫌だなあ」とで、自分がどう感じているかを子供に伝えるが、それについてなにかをする責任は子供に委ねてある
 
 
その結果、「わたしメッセージ」は、子供が成長するのを助け、自分の行動に責任をもつことを学ばせる。「わたしメッセージ」が子供に伝えるのは、子供に責任を持たせていること、子供が状況を建設的に取り扱えるとあなたが信じていること、あなたの欲求を子供が尊重してくれると思っていること、建設的に行動する機会を子供に与えていること、などだ。
 
 
……(中略)(「あなたメッセージ」を使うと)必ず、最後には防衛と攻撃が交互に繰り返される闘争になってしまう。』(『親業ー子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方』大和書房、pp111-112より抜粋)
 
 
つまり「親を蹴った」という問題に対して、「わたしメッセージ」で伝えたら、責任を負うのは子供であり、子供がその後どうするかの機会を与える場に変えることができるんですね。
 
 
「あなたメッセージ」ではこの後「僕は悪い子じゃないよ」「いいや、こんなことをするなんてお前は……」と「親を蹴った」という問題の中に二人が入りこんで喧嘩になってしまう、親も子供もどんどん言葉がヒートアップしてお互いを傷つけてしまう、どちらに問題があったのかわからない状況になってしまいます。
 
 
そういった状況を避け、さらに、相手に力を与える言葉が「わたしメッセージ」なんですね。
 
 
(3)相手と親密な関係になれる
「私は悲しい」「私は泣きたかった」「私は嬉しい」など、気持ちを伝えるのが恥ずかしい方も多いと思います。
でも、「こういう場合、この人は嫌なんだな、嬉しいんだな」と相手もわかれば配慮できますし、お付き合いがスムースになります。
 
 
また、素直な気持ちや考えを伝えてくれると相手も心を開きやすいですよね。結果として健康で親密な関係になれます。自分の正直な気持ちは何も言わないで「あなたはこう、あなたは○○だ」ばかり言ってくる人はちょっと嫌ですよね。
 
 
そして私も、夫と付き合い始めたばかりは「あなたメッセージ」でキーキーしていました。嫌な人間だったと思います(笑)。自分の本当の気持ちなんて全く分からなかったし、伝え方なんてなんでもいいでしょ! といつもキレ気味でした。
 
 
少しずつですが、育児・夫婦関係に取り入れることでかなり人間関係が改善され、さらに「自分」を取り戻すこともできました。この「わたしメッセージ」は最強だな、と今では思っています。
 
 
読んでくださりありがとうございました。
 
 

【ご参考】上で抜粋させていただいた本です。
心が通じ合う親子関係を作るための具体的な方法や考え方が載っている本です。

親業―子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方